>>底引き網漁に同行して
4:00、漆黒の闇をついて北洋丸が出港する。「沖は魔物だ〜吠えながらぁぁぁ〜、牙をむいて来る〜」とサブちゃんの演歌がひとりでに飛び出す。数時間後の現実も予測出来ぬままに。
7月、8月は資源管理のため底曳き網漁業は休業中である。9月の操業再開に向けて集中豪雨や温暖化など、漁場に対する影響が懸念されたことから、漁業者による試験操業を県に要請してきたのである。
そうしたこともあり、今回の試験操業に同行せざるおえなくなった。海底が泥の可能性が高い漁場から漁場を変えながら、三度網をかけていくのである。佐藤船頭のもと、二人の若い乗組員は、Ｗカップのドイツ選手のように、黙々と自らすべきことに取り掛かる。揺れる狭い甲板を平地同様に飛び回る。私のカッポカッポした腹とは逆に、その光景は清々しさを感じる。無駄な動きが全くないのである。
網を引き揚げる際、獲物をめがけて網の外からワニ（サメ）が食いちぎった破損が数か所。県は、近日中にサメの駆除にあたることにしている。最後に船頭が、「普段は氷を七、八トンほど積むので、安定するのだが。」と気遣いをポツリ。
志田英紀事務所
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